昭和ガメラ・シリーズ第2作だが、これのみ大人の鑑賞を大いに考慮した異色作となっている。大映のべテラン特撮マン築地米三郎が同社を離れたことで、前作の監督・湯浅憲明が特撮を担当し『秦・始皇帝』の田中重雄が本篇を監督。本郷功次郎や江並杏子らによるドラマ部分が、秘境探検ものからクールな犯罪映画的な色あいまで提示し、特撮部分もそれに呼応したダークな雰囲気を醸し出している。背中から7つのプリズムを発光させてのウルトラ光線や、舌から冷凍液を噴出するバルゴンの創造も出色。(的田也寸志)
昭和ガメラ・シリーズ第3作。本作以降、湯浅憲明が本篇と特撮、両方の監督を務めることになるが、そのフットワークのよさが怪獣同士の空中戦のスピーディーさにも見事結びつき、結果としてシリーズNo.1の人気作品として君臨することにもなった。吸血鬼をモデルにしたかのようなギャオスも屈指の敵怪獣として今なお人気が高く、その後もしばしシリーズに登場。また、血を流し傷つくという悲壮感を漂わせながらも、子どもたちのため懸命に戦うガメラという、正義のキャラクターのイメージは、本作で決定づけられたとみていいだろう。(的田也寸志)
本作より昭和シリーズは、子どもたちの冒険譚を軸としながら、そこにガメラの勇姿を織り交ぜた勧善懲悪のキッズ・ムービーという内容に統一されていく。また海外輸出を意識し、必ず外国人少年を登場させるという措置が取られるようになったのも本作から。ただし、昭和シリーズならではの怪獣造形の独特なおもしろさはますます際立っていき、ここでもイカなどの軟体生物をモデルにしたとおぼしきバイラスの造形が秀逸。なお、後に『でんきくらげ』など大映セクシー路線のシンボルとなる渥美マリが、ガールスカウト姿で登場しているのがうれしい。(的田也寸志)